日本勤労者つりの会協議会は、つり運動の自主的・民主的発展を目指しています。2008年8月にスタートしました。
2008年8月に日本勤労者つりの会協議会(略称 日本労釣)がスタートしました。設立総会で採択された趣意書、規約です。
□趣意書
はじめに
日本の遊漁の歴史は、300年を超えますが、誰もが自由につりを楽しむことができるようになったのは、第二次世界大戦後のことでした。日本国憲法制定と日本の民主的変革をめざす運動の高揚とその成果は、文化・スポーツ分野でも新しい発展を促しました。
産業・経済の復興と発展は、国民生活向上をもたらす一方、急激な高度成長を追求するあまり、「開発」の美名に隠れ、次々に自然破壊が強行され、日本は公害列島と化しました。
常に自然と向き合ってきたつり人たちは、こうした状況に危機感を覚え、つりを社会運動としてとらえる新しい理念に基づく勤労者のつりの会を立ち上げました。1968年東京と十勝で誕生した勤労者のつりの会は、全国各地に広がり、平和のもとでのつりの追求や、自然を守る運動など、さまざまな運動を展開してきました。
しかし、自然破壊の進行・労働条件の悪化・平和を脅かす動きなど、つり環境の悪化は深刻さを増しており、全国のつり愛好者を含む多くの人々の共同した運動が、今こそ求められています。
1.つりは国民の権利
つりの中心的な担い手である勤労者が、社会的束縛や制約から解放され、働く条件が改善されること、国や自治体の環境政策によって、身近で自然豊かな釣場が確保され、水環境が保護保全されることは、つりの発展にとっては必要不可欠です。 これらのことを実現し、つりを楽しむことは、人間としての成長をはかり、人間らしく生きるために伝統文化を享受することであり、憲法に保障された国民の権利です。
2.つりの多様な発展を
わが国の水環境は変化に富み、豊かな魚種を誇ってきました。ここに日本のつり発展の条件があり、多くの釣具、繊細な釣技を生み、魚食文化とあいまって、わが国独特のつり文化が形成されてきました。 つりに対する意識も、年齢・体力・経験・生活条件、またその土地の風土・伝統によってさまざまです。私たちは、日本の生態系の中で育まれてきた日本のつりを多様に発展させていくために努力していきます。
3.日本伝統のつりを将来まで
日本のつりは、季節や魚の習性や食味を考え、魚種に応じた釣期を設けるなど、自然との配慮ある付き合い方を慣習としてきました。しかし、ブラックバスやブルーギルといった外来魚の不法な拡散は、日本の生態系に撹乱と破壊をもたらしています。 私たちは、日本のつりの歴史の深さと自然との付き合い方を学びつつ、時代に応じた持続可能なつりとつり環境のあり方を考え、日本のつりとつり環境を次の世代に残す責任を果たさなくてはなりません。
4、スポーツマンシップを大切に
つりは、規則や規定がなくても、それ自体豊かな魅力を持っています。つりの本来の相手は、規則に縛られた人間ではなく、自然そのものです。つりは、未分化ながらも、人間の本性に近い稀に見るスポーツ性をもっています。 つりにおけるスポーツマンシップは、自然と魚に対しフェアプレイをもって臨むことであり、各自が自分の釣技を向上させ、そのつりの真髄を極めることは、スポーツマンとしての生きがいです。また、つり競技においては、競技者・スポーツマン同士の友情を基本とするスポーツマンシップが大切です。
5.自然との共生を つりは、自然への一定の負荷を前提としています。 美しい水辺の景観は、つりの楽しさを増し、精神の安らぎをもたらします。自然から楽しみを享受している者は、自然を壊してはならず、水を汚さず、水辺をきれいに保つことを義務としなくてはなりません。 釣った魚を食べるという魚食文化は、日本のつりの伝統のひとつです。これはつりが、水中の富栄養分を除去することを意味しており、養殖魚の必要以上の放流や、むやみなキャッチ&リリースはかえって水質の悪化を招きかねません。つりと水質との相関関係への着目は、つり人もまた、自然の一部・生態系の一部分であることに気付く契機となるでしょう。私たちは、自然との共生を心がけたつりを追求していきます。
6.自然を守るために
わが国の自然は、大規模に改変され、その破壊は人々の健康や生活、精神をも脅かすに至っています。つり場・水環境の衰退も甚だしく、日本伝統のつり物がいくつも失われていきました。 自然の外観にとどまらず、生態系という環境内部の破壊も深刻です。日本の生物進化の過程で未だ出会ったことのない外来生物の侵入は、日本の水生生物に予想を超えた被害をもたらしています。一旦破壊された自然を再生することは至難なことであり、これ以上の環境破壊は許してはなりません。残された自然を保全し、環境再生の運動を進めるため、私たちは、つり人・つりの会・環境保護団体・農林漁業者を含む多くの人々と手を携えなくてはなりません。
□規 約
第1章 名称
第1条 本会は、日本勤労者つりの会協議会(略称 日本労釣)といいます。
第2章 目的
第2条 趣意書の理念の実現に向け、日本におけるつり運動の自主的・民主的発展に尽くすことを目的とします。
第3章 事業
第3条 インターネットなどを活用し、各地の釣り環境の報告・活動の交流・釣り情報の交換・各地釣り環境の保護保全運動など、目的達成のための活動を行います。
第4章 組織
第4条 本会は団体及び個人加盟の会です。
第5条 団体は、本会の趣意書及び規約を認め、所定の様式を持って申し込み手続きを行い、幹事会の承認により加盟できます。
第6条 参加を希望する人は、要項に沿って登録することにより個人会員になることができます。
第5章 機関
第7条 本会の最高決議機関は総会です。総会は2年ごとに開催、幹事会が召集します。
第2項 総会の構成員は、協議会幹事・監査役・加盟団体・および個人会員です。
第3項 総会議案は、誰でも意見を述べることが出来ます。
第8条 総会に次ぐ決議機関は、幹事会です。その決議は全会一致とします。
第9条 本会の運営は、幹事会が行います。
第6章 役員
第10条 本会に、代表・副代表・幹事長・幹事(事務局を含む)及び監査役を置きます。
第11条 幹事は、各加盟団体が推薦し総会が承認します。また、希望する個人会員は立候補し総会の承認により幹事となることが出来ます。
役員は、幹事会で互選し総会の承認を受けます。
第12条 監査役は、幹事会が推薦し、総会の承認を受けます。
第7章 財政
第13条 本会の団体加盟費は1000円。加盟団体年会費は、一口1000円とします。個人会員は、入会時1000円とし、以降会費の徴収は行いません。団体加盟会が個人会員を増やした時、個人会員一人当たり300円を除き当会に納入します。
その他、寄付金および事業収入などによってまかなわれます。
第8章 付則
第14条 この規約の改正は総会の議決によります。
第15条 この規約は、2008年8月24日より発効します。
2010年8月22日一部改正 2014年8月31日一部改正